日本経済新聞 '02 8月8日
関西フィル定期演奏会
熱気引き出す湯浅のタクト
大阪出身の指揮者、湯浅卓雄が初めて関西フィル定期に登場した(7月19日、ザ・シンフォニーホール)。曲目はグルックの歌劇「アウリスのイフィゲニア」序曲、モーツァルト「ピアノ協奏曲
変ロ長調 K五九五」、ウォルトン「交響曲第一番」の三曲。湯浅が振ると関西フィルは非常に密度の高い響きに変ぼうした。
(中略)
ウォルトンでは様相が一変した。輻輳(ふくそう)した長大な曲を、すみずみまで驚異的な統率力で明せきに表現し、しかも異常なほどの熱気を噴出させた。変拍子のリズムも明快そのもので、各パートの妥当なバランスは、理想的といえるだろう。関西フィルを自在にドライブした一糸乱れぬアンサンブルは、精緻(せいち)この上ない。
この密度の高い、凝集力の強い演奏力は、曲を再評価させる。湯浅はイギリスを活動の本拠としているが、今回のウォルトンは楽団の潜在能力を余すところなく引き出し、ゆたかな作品へ共感を示した。すばらしく完成度の高い表現であった。
(音楽評論家 小石 忠男)
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