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大木 正夫



 
湯浅 卓雄 CDレヴュー
日本作曲家選輯
山田耕筰:交響曲《かちどきと平和》他
山田耕筰

(Naxos 8.555350J)


NAXOS ナクソス(オンライン・ショップ)

ミュージック・ペン・クラブ MPC LAND Review '06 3月号

 山田耕筰は近代日本音楽史の巨人であり、「からたちの花」、「この道」、「赤とんぼ」の歌曲作曲家としてあまりにも有名。管弦楽作家としても優れた作品を残しているが、滅多に演奏される機会がなく、このCDに収められている「序曲 ニ長調」(1912)は世界初録音で、日本人初の管弦楽曲。上行する音型は、ベートーヴェンやウェーバーの交響曲を彷彿とさせ、躍動感に溢れている。
 交響曲ヘ長調「かちどきと平和」(1912)は、日本人による初めての交響曲で四楽章から成り、曲は標題通り勝利への喜ばしい賛歌と平和への静かな祈りを対照させ、宥和させる。特に第3楽章のスケルツォが、ヨーロッパの田舎の踊りのような感じで、ベートーヴェンの「田園」を意識したかもしれない。第4楽章も若々しい伸びやかな楽想が支配し、以後この作曲家の特徴づける音楽の原型が垣間見られる。「かちどきと平和」の一年後に書かれた二つの交響詩は、同じ作曲家とは思えないスタイルの変化が見られ、作風はドビュッシー、そしてリヒャルト・シュトラウス的。交響詩「曼陀羅の花」は、4管のオーケストラにテナー・サックスを加えているが、音楽は歌謡的である。片山杜秀の解説も、この作曲家を知る上で役に立つ。山田耕筰自身の伝記「若き日の狂詩曲」も興味深い読み物である。名前だけは誰でもが知っている山田耕筰の世界が、ナクソスのCDでよみがえる。
(藤村 貴彦)






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