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交響曲全集

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日本作曲家選輯
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湯浅 卓雄 CDレヴュー

NAXOS ナクソス(オンライン・ショップ)

レコード芸術12月号 新譜月評 交響曲 特選盤(小石 忠男、宇野 功芳)

【推薦】ナクソスの「日本作曲家選輯」もこれで10点となった。今回は諸井三郎である。戦前から戦後にかけて活動したわが国音楽界の重鎮だが、彼はかなり多くのすぐれた作品を残しながら、一般には広く知られているとはいいがたい。その理由は、片山杜秀氏の詳細かつ懇切丁寧な解説を読めば、だれにも理解できるだろう。
1903年に生まれた諸井は独学で作曲を学んだ。しかし、それだけでは十分でないと考えてベルリンに留学した。ドイツ滞在中から作曲に励み、純音楽的な多くの作品を書いたが、彼はドイツで歴史的に発展した絶対音楽の手法を、日本人の美意識を強く意識しながら自作のなかで消化したのである。この辺の模様は片山氏の文章にくわしいが、ひとことでいうと、諸井の音楽は旋律美よりも動機的な主題を処理する構築性に、強靭な個性を示し、独自の作風を形成した。
その中核は、いうまでもなく5曲の交響曲とそれに類似した分野の作品だが、このディスクには42〜44年の3曲が収められている。すなわち第二次大戦末期の作品の集成である。いずれも力作で、諸井の創作力が頂点に達した時期の作品といってよい。従来、交響曲第2番あるいは第4番などをディスクで聴いてきたが、今回の交響曲第3番は、まさに諸井の音楽の神髄が表出された最高傑作と評価したい。このディスクを何回か反復して聴いたが、聴くほどに味わいが増し、その密度の高い内容が感動を呼ぶことになった。
もちろん、この曲は思想的な深さがあるので、演奏者は相当の理解と共感をもつことが必要だが、その意味でも湯浅卓雄とアイルランド国立饗の演奏はみごとというほかはない。内省的で長大な序奏にはじまる第1楽章は、アレグロ・ヴィヴァーチェの主部で、一種の哲学的な想念を感じさせるが、湯浅はこのような曲を音楽的にもよく流動させており、和声的な変転も巧妙に表出されている。第2楽章のリズミックな力あふれる動感、そして第3楽章<死についての諸観念>の演奏も壮麗であり、ゆたかな内容を伝える。
収録とは順序が逆になったが、最初に収められた《小交響曲》変ロ調は、ロマン的な楽想による堅固な書法の曲をよくまとめている。管弦の音色の冴えとアンサンブルの精緻な効果も特筆しておきたい。第2楽章では中間部の急峻な変化、第3楽章では堂々とした終結感が強い感興を示している。
《交響的第二楽章》は独自の楽想によるソナタ形式だ。対位法的な書法を巧みに整理した演奏は、大きな息づかいが好ましい。第2楽章も精巧な音構造を緊迫感をもって描いている。
というわけで、以上の3曲ともにすぐれた演奏にによって、作品の本質が的確に表現されたといえる。湯浅が初録音の責務をみごとに果たした秀演である。
(小石忠男)


【推薦】好評のナクソスの「日本作曲家選輯」、今月は諸井三郎の作品集である。
まず《こどものための小交響曲》(1943年作)。第1楽章は洒脱な詩的気分、第2楽章は郷土色、第3楽章は詩情にあふれ、美しくも楽しい。湯浅卓雄指揮のアイルランド国立交響楽団は曲想を見事に捉えてチャーミングだ。
《交響的二楽章》(42年作)は第1楽章が雄弁で意味深い。真摯な曲想だが後向きではなく、心に訴えかける。第2楽章はスケルツォ的な遊びを持つが、内容は充実している。
交響曲第3番(44年作)は、第1楽章<静かな序曲・精神の誕生とその発展>、第2楽章<諧謔について>、第3楽章<死についての諸観念>というタイトルがつけられている。最初の楽章は題名通り精神的であり、厚い人間性のハーモニーが語りかける。明るさはないが十分に楽しめる。オーケストラは共感にあふれた名演。
第2楽章はスケルツォで、諧謔的ではあるが真摯な内容を持ち、音階が魅力的だ。第3楽章は憧れに満ちており、不思議な交響が未来の世界を開く。極めて個性的であるとともに心惹かれる世界であり、慈愛の優しさがまことに印象的だ。湯浅の指揮は共感にあふれ、音楽の美しさを最大限に引き出している。
(宇野功芳)





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