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ニクラス・ウィレン コンサート・レヴュー


ニクラス・ウィレン(指揮)
ロストック・フォルクステアター 2010年10月
『リゴレット』


当劇場はその音響のお粗末さで知られているが、にもかかわらず、オーケストラは音楽総監督ニクラス・ウィレンの統率の下で色彩に富む音楽を作り上げていた。その演奏では、アリアでの優しく叙情的なパッセージと、オーケストラが盛大に鳴り響く劇的な部分との差がとてもバランスよく仕上がっていた。やや物足りなさのあった舞台上の展開を補って、この音楽ドラマを活き活きと描き出していた。

ノイエ・ノルトドイッチェ・ナッハリヒテン紙 10月18日付
アンチェ・ヨーナス



ニクラス・ウィレン(指揮)
ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
ペッテション『交響曲第7番』

     
ペッテションもこれ以上の指揮者は望めまい

水曜日はニクラス・ウィレンにとって特別な日となった。そして、同じくスウェーデンの音楽にとっても、と付け加えよう。単に将来有望という以上の存在で、既に経験も積んでいる若手指揮者が、突然偉大な解釈者へと変貌を遂げたのだ。ウィレンがもつパワーと劇的な本質に対して触媒の役割を果たした芸術作品は、アラン・ペッテションの『交響曲第7番』であった。

ウィレンがみせた個人的解釈は、ドラティのものともコミッシオーナのものとも全く異なっていた。この二人の演奏に比べて劇的な楽節での声部と対位旋律が厚みを増しており、伝統的な意味でずっと交響的に仕上げられていた。例えば、例の「死のトロンボーン」の反復楽句は頑迷なリフレインとして孤立することはなく、むしろ連続する流れの部分のようであった。

力とそれに対抗する力のコントラストが最大限の効果をあげていた。弦による異様なほど美しい高音の嬰ハ短調のメロディに管楽器が仕掛ける攻撃が、このコントラストを最大限に強めていた。その結果、激しく炸裂し砕け散っていく極めて美しいサウンドと共に進んでいく旋律が効力を増すこととなった。私には、この演奏が発するメッセージを言葉でこれよりうまく伝えることはできない。

ペッテションは彼自身の音楽に、一般的な演奏で表現されているより、もっと希望を見出していたというのがウィレンのペッテションに対する考察である。その考えに賛同しない人もいるかもしれない。我々がよく耳にする演奏では延々と続く痛みが顕著で、音楽的な頂点に向けてせめぎ合う激しい力による鬱積を感じさせる。ウィレンはこういった圧迫を、抒情的で哀調に満ちた刹那(それは希望に等しい)に向かいくるものとして、その対比を仮借なく描き出していた。この交響曲の終焉部では、ペッテションが彼の音楽に書き込んでいる断固たる主張が高まってゆき、弦による壮大なコラールの中で謳歌する。この終局部は抑制がきいていて、遥かずっと彼方からみつめる夢のようなヴィジョンへと変わっていた。

親愛なるニクラス・ウィレン、そしてロイヤル・ストックホルム・フィル、この演奏は真に美しく、そして実に挑発的に想像力を刺激してくれた。こんなにも長い間待ちわびた「ペッテション指揮者」を、ついに見出したと言ってもいいだろうか。

ダーゲンス・ニュヘテル紙
レイフ・アーレ


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